【最新】特定技能2号の分野拡大で外国人労働者の受け入れが変わる?その要件とは?

2023年4月24日。世界的な人材難等の背景から、政府は、在留資格について業種を大幅に拡大する案を自民党の外国人労働者に関する部会で明らかにしました。今回、検討対象になっているのは「特定技能2号」になります。特定技能2号の対象拡大とは、どんな内容なのでしょう?

特定技能とは?

特定技能とは、日本国内で働く外国人労働者に対して、日本の産業界で求められる一定の職業技能を持つ外国人労働者の受け入れを促進するために、2019年に制定された法律です。導入当時は画期的な制度として注目されましたが、企業側にとっても、外国人労働者にとっても活用しにくい側面があり、産業界からは、長らく特定技能2号の対象拡大の要望が出されていたという経緯があります。

特定技能1号と2号の違いとは?

特定技能1号と2号の違いについて以下にまとめます。

特定技能1号特定技能2号
在留期間通算で最長5年まで更新の上限なし
技能水準相当程度の知識又は経験を必要とする技能熟練した技能 (各分野の技能試験で確認)
外国人支援必須不要
家族の帯同不可条件を満たせば可能
日本語能力水準試験の有無有り無し
特定技能1号と2号比較表

上記のように、特定技能1号は、2号よりも資格取得のハードルは比較的低いのですが、在留期間が通算で最長5年と短いうえ、家族の帯同は認められない等のデメリットがあります。一方で、特定技能2号については、現状で対象分野が実質2分野(後述)と少ないうえ、求められる技能水準も厳しいこともあり、2023年2月現在で、資格保有者は10名のみとなっており、制度の活用は実質ほとんどされていないのが現状です。

特定技能2号の分野拡大とは?

2023年4月に発表された要件拡大により、特定技能2号の対象分野が2分野⇒11分野に拡大されることになりました。具体的には、製造業、外食、宿泊、農業、漁業などの分野が追加され、外国人労働者の受け入れが可能になると考えられます。

特定技能2号の対象分野の現状と今後

既存分野
(2分野)
建設
造船・舶用工業
追加が検討されている分野
(新たに9分野)
ビルクリーニング
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
自動車整備
航空
宿泊
農業
漁業
飲食料品製造業
外食業

特定技能2号の分野拡大の背景

なぜ現在、特定技能2号の分野拡大が検討されているのでしょう。1つには、制度上の課題があります。

この時期に見直すのは、特定技能の創設当初から働く人が24年5月以降に在留期限を迎え始めるためです。現状では多くが帰国を迫られ、引き続き日本で働ける道を用意するかを早急に示す必要がありました。

外国人の在留資格「特定技能」分野拡大でどう変わる? – 日本経済新聞 (nikkei.com)

また、世界的な労働者市場の問題もあります。

外国人材が長期就労できる環境整備が進む背景には、人手不足の深刻化があります。国際協力機構(JICA)などは政府が目指す経済成長を40年に達成するには、外国人労働者は現在の4倍近い674万人必要と推計。各国でも少子化が進み、労働力の獲得で競争激化が見込まれています。このような中、政府としては、制度上の不備を早急に解消すると共に、高い技能を持つ外国人労働者を迎え、長く働ける環境を整備しなくてはならないのが現状です。

外国人の在留資格「特定技能」分野拡大でどう変わる? – 日本経済新聞 (nikkei.com)

特定技能2号の取得要件は、以下となります。日本語能力に関する要件は特にありません。

1.技能検定の合格者
2.監督者としての実務経験

特定技能2号の対象拡大はいつから?

閣議決定の後、省令改正などを経て、実際の運用開始は2023年6月頃になる見通しです。家族帯同も可能で、永住への道も開ける特定技能2号の対象拡大は、企業側にとっても、外国人労働者にとっても外国人労働者定着の大きな一歩になりそうです。

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まとめ

2023年4月24日に発表された特定技能2号の要件拡大について、ご紹介しましたがいかがでしたか?
我が国の人口減少や、国際的な人材獲得競争が激化する中で、優秀な外国人人材に長く日本で働いてもらえる環境整備は、非常に重要と言えます。一方、外国人労働者を受け入れる企業側にとっても、様々な課題が存在します。たとえば、外国人労働者は労働環境の整備や労働法令の遵守だけでなく入管法の遵守が必要です。「特定技能人材を採用したい」「外国人を雇用しているが入管法を遵守できているか不安」などお困りの企業様はぜひ行政書士法人GOALにお気軽にご相談くださいませ。