こんにちは、ビザ行政書士の中楯です。
今回は、ご相談を受ける上でよくある非常に重要な質問を徹底解説します。
ビザの申請、間に合いますか?
現在日本に住んでいて何かしらの在留資格を持っている外国人は、在留カードを所有していることがほとんどです。
在留カードには、現在のビザで在留できる在留期限が載っていて、これを1日でも過ぎて日本に残ってしまうと、不法滞在となってしまい、大きなペナルティを課せられてしまいます。
たとえば会社が採用を決定し、就労ビザに変更しなければならない場合は、この在留期限内に申請をしなければなりません。
以前の記事で書きましたが、現在就労ビザを持っていない方が就労ビザに変更するには、およそ1か月の審査期間があります。
ということは、現在在留カードに記載されている在留期限よりも1か月以上前に申請をしなければならない、そう考えるのが自然ですね。
ですが、実はそうではありません。
申請を完了した時点で、その外国人には「特例期間」が付与されます。
この特例期間により、カードに記載されている期限を過ぎても日本に滞在することができるのです。
「特例期間」とは?
簡潔に言いますと、申請を完了すると、在留期限が2か月延長されます。たとえば7月21日が期限となっている方の場合、申請を終えた瞬間9月21日まで在留期限が延びます。ですから、極端にいえば7月21日に申請してもOKなんです。9月21日までに、入国管理局は必ず審査を終え、結果を通知してくれます。
ケーススタディ:留学ビザからの変更の場合
留学ビザをもって日本の大学を卒業する方がいます。在留期限は3月31日。卒業後は日本に就職したいと思っていますが、なかなか就職先がみつかりません。そうこうしているうちに、卒業が迫ってきてしまいました。必死で就職先を探して、卒業目前の3月20日、ついに内定がもらえました!
でも、周りのみんなはもう就労ビザへの変更の許可をもらっています。申請について聞いてみると、内定が決まってから許可をもらうまで、みんな1か月以上はかかっていると言うではありませんか。自分の期限はもう10日ほどしかない…
どうしよう!?
こんな状況でも、3月31日までに申請をすれば大丈夫です!特例期間のおかげで、この方の期限は5月31日まで延長されますからね。あわてず、しっかりと書類を準備して申請を完了しましょう!
在留期限が延びていることはここで判断しよう
申請を完了しても、在留カードに記載されている期限が書き換えられるわけではありません。
なので、ぎりぎりに申請した方は在留カードの日付を過ぎて日本に残ることになります。たとえばその状態で、警察に身分証明書を出せといわれたら…
「期限が切れているじゃないか、不法滞在だ。身柄を確保する」
…なんてことにはもちろんなりません。
特例期間が付与されていることは、在留カードの裏のスタンプでわかるようになっています。
申請を完了すると、在留カード裏面の右下に「在留資格変更許可申請中」というスタンプが押されます。
これによって、2か月延長されているということが証明されるのです。
変更申請を完了した後は、必ずこのスタンプが押してあるか確認してくださいね。
(これまでに1度だけ、入管職員の押し忘れがありました・・・)
まとめ
就労ビザへの変更申請をすることで、現在の在留期限は2か月延長されます。
なので、申請はいつまでにすればいいかという質問の答えは、「在留期限当日まで」ということになります。
ただし、2か月の期限の中で十分な審査ができない場合もあるでしょう。
特に申請が多い頃などは、繁忙期でなければ提出を依頼する詳細説明資料(たとえば詳しい業務内容など)を求めることなく審査を終えて、立証不十分で不許可、なんてことも考えられます。
やはり申請は余裕を持って行うのが一番ですね。