NPO法人だって利益を上げていい!?珍しく「良い国会質疑」が解いた誤解

NPO法人設立・運営のサポート担当の若林です。

最近、珍しく「良い国会質疑」がNPO界隈でにわかに話題になっています。

通常国会が開催中で、働き方改革法案がデータの捏造疑惑で炎上してしまっています。
メディア的にはそういった「やっちゃった」答弁は注目されますが、「良い質疑」というのは見過ごされがちです。
今回は、我々NPOにとって、「よくぞ言ってくれた!」という良い国会質疑をご紹介します。
(「全NPOが泣いた!」国会質疑2018:山本香苗 vs 世耕弘成(駒崎弘樹) – BLOGOS(ブロゴス))

経産省系のいくつかの補助金では、未だにNPO法人が対象外

ものづくり補助金など、いくつかの経産省系の補助金では、その対象を「中小企業」としており、中小企業の定義にNPO法人・一般社団法人等の非営利団体が含まれず、結果的に対象外になっていることがあります。

ものづくり補助金の対象からNPO法人等の非営利法人が外されていることについて、山本香苗議員が質疑し、世耕経産大臣が答弁したのですが、官僚が書いた答弁をそのまま読み終えたところで、以下のように大臣が自分の言葉で話し始めました。

ものづくり補助金においてはNPO法人や一般社団法人、財団法人といった非営利活動を前提とする法人は対象としていませんという答弁を読んでくださいというふうに今日レクを受けたんですが、これだとちょっと非営利法人、誤解を与えると思うんですね。

NPOとかは、これだと収益力向上を図らないのか、経常利益や付加価値額のアップを図らないのかと誤解をされるんですが、当然私は、NPOはよく誤解をされますが、利益を上げていいわけです。

利益を配分してはいけないだけであって、利益を上げて、その利益で更に雇用を広げたりあるいはもっと投資をしてサービスのレベルを上げるという意味では、当然NPO法人も財団法人も利益を上げるということは取り組んでいただいて全く構わないわけです
(世耕大臣答弁より)

質疑・答弁の動画はこちら

NPO法人だって利益を上げていい!

この大臣の答弁はNPO法人等の非営利団体の」という言葉の意味について、よくある誤解を見事に解いています。

「非営利」とは?

NPO法人は非営利団体です。
ここでいう非営利とは、「利益を上げてはいけない」「ボランティアでなければならない」という意味であると誤解されている方もいますが、決してそうではありません。
利益を配分してはいけないだけで、利益は出していいのです。
むしろ積極的に出すべきなのです。

「営利」とは?

この「非営利」の意味は、逆に「営利」を説明した方がわかりやすいです。
たとえば、営利企業である株式会社は、株主が出資をし、その出資を原資に事業活動を行い、利益を出し、利益を配当という形で分配することができます。
その「利益の分配」をしないのが「非営利」ということです。
収益を産み、雇用を創出(人件費としてお給料を払い)し、利益(剰余金)を分配しないで、社会課題を解決する活動に再投資することは全く問題ありません。推奨されるべきことです。

まとめ

とはいえ、NPO法人が収益を出すことへの変なアレルギーは依然として残っています。
これは国民にNPO法人についての正しい理解を促すことをしてこなかったからだと思います。
営利企業でさえ利益を出そうと思って出すことが難しいのに、元々ブレーキがかかっていたのでは、よりいっそう難しくなってしまいます。

一方、アメリカのNPO法人の捉え方は異なっていて、たとえば、Teach For AmericaというアメリカのNPO法人は、100億を超える調達を繰り返し成長して、2010年にはGoogleを押さえて全米文系学生・就職先人気ランキング1位になるなど、社会に強烈なインパクトを残しています。
NPO法人の存在は確実に社会に認知されているものと推測されます。

日本でも実際に多くのNPO法人ががんばっていて、正しい事業で収益を得て、利益を出し、その利益を再び特定非営利活動に還元し、更なる社会課題解決を図ろうとしています。
少しでも社会でNPO法人が正しく認知されることを願っています。

また、政治家の良い質疑・答弁により、制度や補助金が有効に活用され、届くべきところに届くべきものが届く世の中になるといいですよね。

弊社も微力ながらNPO法人の設立のサポートを通じて、貢献したいと思います。

投稿者プロフィール

若林 哲平
若林 哲平
融資・補助金を軸としたスタートアップ支援を専門とする行政書士。認定支援機関として、日本政策金融公庫と連携し、多くの起業家の支援を行う。特にNPO法人職員の経歴を活かしたソーシャルビジネスの立ち上げと資金調達には定評がある。