大掃除に向けて知っておきたい廃棄物の豆知識

小学生の頃から整理整頓が△だった石下@産業廃棄物許可担当です。
ただでさえ書類の多いこの仕事、実は向いていないのではないだろうか・・・とは言えもう11月も最終日、いよいよ年末の足音が近づいてきました。
そうなるとちょっとずつ話題に出てくるのが年末大掃除。
今回はその大掃除について知っておきたい法律のお話です。

廃棄物には種類がある

そもそも廃棄物、つまり不要なもの、ゴミにも種類があるのをご存知でしょうか。

公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターのHPから抜粋)
上記の表を見ると、家庭から出るゴミに関しては家庭廃棄物として一般廃棄物に該当します。
ここで問題になり得るのが、事業活動から出たゴミ、つまりオフィスから出たゴミについてです。

オフィスから出たゴミは産業廃棄物?

うちの事務所でも最終営業日には、仕事終わりにみんなで事務所の大掃除をする予定です。
きっと同じような会社や事業所さんも多いのではないかと思います。
では、オフィスや事業所から出るゴミは事業活動から出るゴミとしてすべて産業廃棄物に当たるでしょうか?
答えはNOです。
産業廃棄物にあたるものもあれば、当たらないものもあります。
つまり、上記の表で言うところの事業系一般廃棄物に該当するものがあるのです。

事業系一般廃棄物とは?

事業系一般廃棄物とは、事業活動から出るゴミのうち、産業廃棄物に当たらないものを言います。
事業活動から出るゴミであれば全て産業廃棄物というわけではないのです。
では産業廃棄物とは何でしょうか?
廃棄物処理法では廃棄物とは以下のものとされています。

産業廃棄物の種類と具体例

種類 具体例
あらゆる事業活動に伴うもの (1) 燃え殻 石炭がら、焼却炉の残灰、炉清掃排出物、その他焼却残さ
(2) 汚泥 排水処理後および各種製造業生産工程で排出された泥状のもの、活性汚泥法による余剰汚泥、ビルピット汚泥、カーバイトかす、ベントナイト汚泥、洗車場汚泥、建設汚泥等
(3) 廃油 鉱物性油、動植物性油、潤滑油、絶縁油、洗浄油、切削油、溶剤、タールピッチ等
(4) 廃酸 写真定着廃液、廃硫酸、廃塩酸、各種の有機廃酸類等すべての酸性廃液
(5) 廃アルカリ 写真現像廃液、廃ソーダ液、金属せっけん廃液等すべてのアルカリ性廃液
(6) 廃プラスチック類 合成樹脂くず、合成繊維くず、合成ゴムくず(廃タイヤを含む)等固形状・液状のすべての合成高分子系化合物
(7) ゴムくず 生ゴム、天然ゴムくず
(8) 金属くず 鉄鋼または非鉄金属の破片、研磨くず、切削くず等
(9) ガラスくず、コンクリートくずおよび陶磁器くず ガラス類(板ガラス等)、製品の製造過程等で生ずるコンクリートくず、インターロッキングブロックくず、レンガくず、廃石膏ボード、セメントくず、モルタルくず、スレートくず、陶磁器くず等
(10) 鉱さい 鋳物廃砂、電炉等溶解炉かす、ボタ、不良石炭、粉炭かす等
(11) がれき類 工作物の新築、改築または除去により生じたコンクリート破片、アスファルト破片その他これらに類する不要物
(12) ばいじん 大気汚染防止法に定めるばい煙発生施設、ダイオキシン類対策特別措置法に定める特定施設または産業廃棄物焼却施設において発生するばいじんであって集じん施設によって集められたもの
特定の事業活動に伴うもの (13) 紙くず 建設業に係るもの(工作物の新築、改築または除去により生じたもの)、パルプ製造業、製紙業、紙加工品製造業、新聞業、出版業、製本業、印刷物加工業から生ずる紙くず
(14) 木くず 建設業に係るもの(範囲は紙くずと同じ)、木材・木製品製造業(家具の製造業を含む)、パルプ製造業、輸入木材の卸売業および物品賃貸業から生ずる木材片、おがくず、バーク類等
貨物の流通のために使用したパレット等
(15) 繊維くず 建設業に係るもの(範囲は紙くずと同じ)、衣服その他繊維製品製造業以外の繊維工業から生ずる木綿くず、羊毛くず等の天然繊維くず
(16) 動植物性残さ 食料品、医薬品、香料製造業から生ずるあめかす、のりかす、醸造かす、発酵かす、魚および獣のあら等の固形状の不要物
(17) 動物系固形不要物 と畜場において処分した獣畜、食鳥処理場において処理した食鳥に係る固形状の不要物
(18) 動物のふん尿 畜産農業から排出される牛、馬、豚、めん羊、にわとり等のふん尿
(19) 動物の死体 畜産農業から排出される牛、馬、豚、めん羊、にわとり等の死体
(20) 以上の産業廃棄物を処分するために処理したもので、上記の産業廃棄物に該当しないもの(例えばコンクリート固型化物)

公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターのHPから抜粋)
オフィスや事業所という、事業活動から出るゴミのうち、上記の分類に当てはまるものが産業廃棄物になります。
つまり、例えば家でペットボトルを飲んだらそれは一般廃棄物であり、事務所で同じものを飲んだ場合には産業廃棄物になるわけです。
同じものでもどこから出るかで変わる。
わかりにくいですよね。

業種限定とは?

ではオフィスから出る紙ゴミ、うちの事務所でもたくさん使っていますが、それは産業廃棄物の紙くずでしょうか?
上記の表を見ると、紙くずは特定の事業活動に伴うものとして、建設業に係るもの(工作物の新築、改築または除去により生じたもの)、パルプ製造業、製紙業、紙加工品製造業、新聞業、出版業、製本業、印刷物加工業から生ずる紙くずとあります。
つまり、うちの事務所から出る紙くずは産業廃棄物でなく、事業系一般廃棄物にあたるのです。

ゴミを出す際の注意点

これまでみてきたように、オフィスから出るゴミは事業活動からでるとはいえ、全てが産業廃棄物なわけでなく、事業系一般廃棄物に分類されるものも多くあるといえます。
ここで問題になるのが、そのゴミの処理を誰に頼んでいますか?ということです。
事務所の大掃除をして大量の紙ゴミが出たとしましょう。
それは一般廃棄物に分類されます。
つまり、この紙ゴミを産業廃棄物の許可を持っているだけの業者さんには処理の委託をお願いできないということになります。

廃棄物に係る許可について

産業廃棄物と一般廃棄物、それぞれについて、収集うして運搬するにはそれぞれ産業廃棄物収集運搬業、一般廃棄物収集運搬業という許可が必要になります。処分をするならそれぞれについての処分業の許可が必要になるのです。
オフィスから出たゴミを持っていってもらう際、何の許可を持っているのかがとても重要なのです。
なぜなら、万が一無許可の事業者さんに処理を委託してしまった場合には、そのゴミを出した会社に対しても排出事業者責任として法的な責任がかかってくるからです。
これからの大掃除の季節、廃棄物の種類を気にしながら、ちゃんとした許認可を持っている業者さんに処理の委託をすることに注意してくださいね。
もし良い業者を紹介してほしいということであれば、ぜひGOALにお気軽にご相談下さいませ。