あの有名な会社も合同会社?合同会社の魅力とは

Appleやアマゾンといった超有名海外企業の日本法人、また、西友やP&Gプレステージなどの有名国内企業が合同会社というのをご存知でしょうか?

実は平成18年の会社法改正で誕生した合同会社は18年で3,392件だったのが、平成28年度には23,787件と毎年増加し続けています。

有名企業も活用し、激増が続く合同会社とは一体どんな法人なのでしょう。

合同会社の魅力とは

日本総起業家時代ともいわれ、起業がブームから一般化してきている現代では事業内容によって最適な法人形態を選ぶ必要があります。

株式会社、合同会社、一般社団法人、一般財団法人、NPO法人・・・様々な法人がある中で合同会社を選ぶメリットは以下のようなものになります。

①設立にかかる費用が安い

上記のような法人を立ち上げるには、たとえ自分で手続をしたとしてもかかる費用、いわゆる法定費用というものがあります。

株式会社の場合は、会社を設立するために公証役場に定款認証費用として約52,000円、紙で定款を作る場合には印紙代が4万円、そして法務局に15万円の登録免許税を支払いますので、約24万円がかかります。(専門家は電子定款認証ができますので4万円の印紙代はかかりません)

一方で合同会社の場合には定款認証が不要ですので、紙で定款を作る場合の印紙代4万円に60,000円の登録免許税を法務局に納めるだけですので、10万円(専門家に寄る電子認証があれば6万円)しか実費はかかりません。

更には定款認証が不要ということはその分手続きも簡略化でき、早く設立しやすいともいえます。

ちなみに、一般社団法人や一般財団法人は紙で定款を作ったとしても、もともと4万円の印紙代はかかりませんが定款認証は必要なので、公証役場に約52,000円の定款認証費用、法務局に6万円の登録免許税を支払うため、約112,000円が設立に必要な実費としてかかります。

この点、NPO法人は設立にかかる実費がかかりませんのでご自身で設立するならコストがなく設立できます。

つまり、NPO法人を除けば、合同会社が設立にかかる費用は一番抑えられるといえます。

②利益の分配が自由

合同会社では、出資の割合に関係なく、利益を配当できるように決めることができます。

例えば資金力のある人と技術力のある人がいた場合、株式会社は資金を持っている人がそれだけ多くの株式を保有するでしょうから、その技術が会社にとって非常に重要だとしても、利益の分配が株式についてされる以上は株式の数で分配されることになります。

一方で合同会社の場合には、定款で定めれば出資した金額に関係なく、利益の配分を定めることができるのです。お金以外の資産、人脈や技術、営業力などを配慮して利益を分配できるのは合同会社の大きなメリットだと思います。

ちなみに個人事業主の場合には、事業で得たお金から経費を除き、全てその個人の所得となります。この点も法人を作ったほうが良いと言われる理由の一つです。

③役員の任期が無制限

株式会社では、代表取締役などの任期は原則2年間、最長は10年と会社法で決まっています。

任期が切れたら、取締役の再任や変更の手続をする必要があり、書類作成をはじめ、法務局への届出などの作業が必要となりますし、それには所定の登録免許税がかかります。

一方で、合同会社の場合には代表社員などの役員に任期が定められていないので、変更の手続も不要ですし、お金もかかりません。

費用もそうですが、任期が切れているのに手続きをしないことで起こる過料という罰則を受けるリスクもなくなります。

④決算公告がない

会社を設立すると、1年に1回は税務署に決算を報告しなければなりません。

この決算の手続きは自体は株式会社、合同会社どちらも必要となりますが、株式会社では、毎年の決算の内容を官報などで公表する義務があるのに対し、合同会社は決算内容を公告する義務がありません

決算広告には最低6万円がかかることを考えると合同会社のほうが運営でもコスト面でメリットがあるといえます。

合同会社のデメリットとは

一方で合同会社のデメリットとは何でしょうか?

最も大きなものはやはり認知度の低さかと思います。
まだまだ認知されているとは言い切れませんので、特に相手が大企業の場合には信頼の点で劣るといえるでしょう。

また、株式会社の場合には社長は代表取締役といいますが、合同会社にはそもそも取締役というものがありませんので、経営する人のことを「社員」といいます。
つまり合同会社の代表者は代表社員となります。

代表社員って知られていないのでCEOにする方も多いですね。

実はこれは行政書士も同じで、行政書士が法人化した場合、その代表は代表社員となります。

株式会社の場合には経営と所有の分離といいますが、経営するのが取締役、出資をするのが株主というように役割が分かれていますが、合同会社は経営するのも出資するのも社員ということになり、経営と所有が分離していないことになります。

この点に関し、例えば会社に役員として追加したい場合、株式会社の場合にはその人が出資をしないで、つまり株主にならずに取締役になることはできますが、合同会社の場合には出資しなければ社員になれませんので、交代による引き継ぎがない限りは増資もしなければなりません。

まとめ

このように認知度がいまいちということを除けば、合同会社はとても魅力的な法人だと言えます。

特にスタートアップであまり費用をかけたくない場合、1人起業を行いたい場合、副業の節税対策に法人が欲しい場合などは向いている法人かと思います。

前述しましたが、何を目的にするのか、どんな事業をやりたいのかによって最適な法人形態が異なりますので、これから起業をお考えの方は相談無料ですのでお気軽に下記のフォームからお申し込みいただければと思います。

また、合同会社についてもっと知りたいという方は、私も困ったときによく相談する法人登記のスペシャリストである司法書士の佐藤良基さんが合同会社について非常によくまとまった書籍を出版されていますので、ぜひお手にとっていただければと思います。弊所でも合同会社のマニュアルとして社員に配ったほど秀逸なまとまり具合です。

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