yahooオークションが大好きな石下@許認可担当です。
あまりに熱中しすぎて電車で乗り過ごしたこともありますが、すぐに現金化できる点が受け、若者を中心に最近はもっぱらメルカリが人気のようです。
日本で唯一の「ユニコーン」(企業価値10億ドル以上の未上場企業)と期待されているメルカリですが、今年になって上場の情報が流れ、そしてその延期についてもニュースで取り上げられていました。
メルカリの上場を阻むものとは
許認可担当なので、許認可の視点からメルカリの上場を阻害しているとされている点を見ていきます。
既に時価総額の評価額は1100億円を突破したという見解もあり、東証一部への上場となる可能性が高いとされていますが、警察庁及び金融庁から「待った」がかかっていると言われています。
古物商からみた問題点
中古品(古物)の「売買」、「交換」、「委託を受けて売買」、「委託を受けて交換」を行う営業を行う場合には、管轄の警察署を経由して、公安委員会から古物商という許可を取得する必要があります。
古物営業法1条では、取引される古物の中に窃盗の被害品等が混在するおそれがあることから、盗品等の売買の防止、被害品の早期発見により窃盗その他の犯罪を防止し、被害を迅速に回復することを目的と定めています。
警察庁はメルカリについて、盗品等の売買の防止、被害品の早期発見という点が問題としているといわれています。
800冊もの書籍を万引きしメルカリで売却し100万円近くを荒稼ぎしていた女性が逮捕されたり、マイクロソフトの業務ソフト「オフィス」を違法にコピーしインストールしたパソコンを販売したケースでも逮捕者が出ていたりという事例を受けて、警察庁はメルカリに対し、ユーザーの本人確認の甘さを指摘しているようです。
本人確認の方法
では、メルカリのようなインターネット上での取引において、本人確認はどのようにすれば良いのでしょうか?
警視庁はHP上で、インターネットのような非対面取引における確認として下記の方法をあげています。
1.相手方から電子署名を行ったメールの送信を受けること(法第15条第1項第3号)
2.相手方から地方公共団体情報システム機構が発行した電子証明書と電子署名を行った住所、氏名、職業及び年齢に係る電磁的記録の提供を受けること(規則第15条第3項第8号)
古物商の確認方法
- システム上電子証明書の有効性を確認する。
- 電子証明書の公開鍵で電子署名を複合し、申請書と照合する。
- 電子証明書の氏名等と申請書の氏名等を目視で確認する。
この方式を行うことができる古物商は、総務大臣が認定した署名検証者に限られます。
3.相手方から特定認証業務を行う署名検証者が発行した電子証明書と電子署名を行った住所、氏名、職業及び年齢に係る電磁的記録の提供を受けること(規則第15条第3項第9号)
4.相手方からから印鑑登録証明書及び登録した印鑑を押印した書面(注記1)の送付を受けること(規則第15条第3項第1号)
併せて相手方からその住所、氏名、職業、年齢の申出を受けなければなりません。
書面には制限がなく買取り申込書、査定申込書等のほか、印影以外の文字等が記載されていないものでも良いものです。
5.古物商が相手方に対して本人限定受取郵便等(注記1)を送付して、その到達を確かめること(注記2)。(規則第15条第3項第2号)
併せて相手方からその住所、氏名、職業、年齢の申出を受けなければなりません。
郵便局が行う本人限定受取郵便のほか、信書便事業者が身分証明書等の提示を受けて名宛人本人であることを確認した上で、本人に配達する信書便物のことです。単なる宅配便は、これには当たりません。
「到達を確める」の方法としては、以下のものがあります。
- 送付した本人限定受取郵便物等(簡易書留等による場合の到達確認も同様。以下同じ。)を古物と同封させて返送させる方法
- 本人限定受取郵便物等により受付票等を送付し、当該受付票等を古物と同封させて返送させる方法
- 本人限定受取郵便物等に受付番号を記載して送付し当該受付番号等を相手方から電話、電子メール等により連絡させる方法
- 本人限定受取郵便物等で往復葉書を送付し、その返信部を相手方から送付させる方法
- 本人限定受取郵便物等で梱包材を送付し、その梱包材に梱包して古物を送付させる方法(古物商が送付した梱包材と相手方から送付を受けた古物の梱包材との同一性が判断できるように、自社専用で第三者が入手できない梱包材を使用する。梱包材に個別の番号を付しておくなどの措置が必要です。)
6.古物商が相手方に対して本人限定受取郵便等(注記1)により古物の代金を送付する契約を結ぶこと(注記2)(規則第15条第3項第3号)
併せて相手方からその住所、氏名、職業、年齢の申出を受けなければなりません。
郵便局が行う本人限定受取郵便のほか、信書便事業者が身分証明書等の提示を受けて名宛人本人であることを確認した上で、本人に配達する信書便物のことです。単なる宅配便は、これには当たりません。
合意された方法により実際に支払いが行われることを前提としているので、古物商が当該合意と異なる方法により代金を支払う場合には、改めて売主の真偽を確かめる措置が必要となります。
7.相手方から住民票の写し等(「写し」とは、コピーのことではありません。「住民票の記載事項証明書」、「戸籍謄本・抄本」、「印鑑登録証明書」など市区町村の窓口で取った各種証明書のことです。)の送付を受け、そこに記載された住所宛に簡易書留等(注記1)を転送しない取扱いで送付して、その到達を確かめる(注記2)こと。(規則第15条第3項第4号)
- 併せて相手方からその住所、氏名、職業、年齢の申出を受けなければなりません。
- 住民票の写しは、個人番号が記載されていないものを使用してください。
簡易書留等とは、従来は配達記録郵便等となっていましたが、配達記録郵便が廃止されたことから、「簡易書留」とすることが必要です。配達した相手先に届けて、受領印をもらい、配達記録が残るものであれば、他の業者のサービスでも可能です。営業所留めで受け取れたり、集合ポストに配達する、お隣に預ける等のものは、これに当たりません。また「特定記録郵便」は、発信記録のみで、受領記録が残らないため、これには当たりませんので注意してください。
「到達を確める」の方法としては、以下のものがあります。
- 送付した本人限定受取郵便物等(簡易書留等による場合の到達確認も同様。以下同じ。)を古物と同封させて返送させる方法
- 本人限定受取郵便物等により受付票等を送付し、当該受付票等を古物と同封させて返送させる方法
- 本人限定受取郵便物等に受付番号を記載して送付し当該受付番号等を相手方から電話、電子メール等により連絡させる方法
- 本人限定受取郵便物等で往復葉書を送付し、その返信部を相手方から送付させる方法
- 本人限定受取郵便物等で梱包材を送付し、その梱包材に梱包して古物を送付させる方法(古物商が送付した梱包材と相手方から送付を受けた古物の梱包材との同一性が判断できるように、自社専用で第三者が入手できない梱包材を使用する。梱包材に個別の番号を付しておくなどの措置が必要です。)
8.古物商が相手方から住民票の写し等(「写し」とは、コピーのことではありません。「住民票の記載事項証明書」、「戸籍謄本・抄本」、「印鑑登録証明書」など市区町村の窓口で取った各種証明書のことです。)の送付を受け、そこに記載された本人名義の預貯金口座等(預貯金口座又は郵便振替口座)(注記1)に古物の代金を入金する契約を結ぶこと。(規則第15条第3項第5号)
併せて相手方からその住所、氏名、職業、年齢の申出を受けなければなりません。
口座振替の方法をとる場合、振替先の預貯金口座等の名義を古物商が了知していなければなりません。一般的な口座振替依頼書では、振替先の預貯金口座等の名義まで記載されていない場合もあるので、そのような場合には、当該預貯金口座等が開設されている金融機関に問い合わせるなどしてその名義を把握する必要があります。
9.相手方から身分証明書、運転免許証、国民健康保険被保険者証等のコピー(注記1)の送付を受け、そこに記載された住所宛に簡易書留等(注記2)を転送しない取扱いで送付して、その到達を確かめ(注記3)、併せてそのコピーに記載された本人の名義の預貯金口座等(預貯金口座又は郵便振替口座)に古物の代金を入金する契約を結ぶこと(そのコピーを取引の記録とともに保存することとする。)(規則第15条第3項第6号)
併せて相手方からその住所、氏名、職業、年齢の申出を受けなければなりません。
コピー等には、免許証等のコピーのほか、コピーと同程度に鮮明で住所、氏名等の記載内容が読み取れるのであれば、写真画像やスキャナーで取り込んだもののデータファイル、それを印刷した物も含まれます。
簡易書留等とは、従来は配達記録郵便等となっていましたが、配達記録郵便が廃止されたことから、「簡易書留」とすることが必要です。配達した相手先に届けて、受領印をもらい、配達記録が残るものであれば、他の業者のサービスでも可能です。営業所留めで受け取れたり、集合ポストに配達する、お隣に預ける等のものは、これに当たりません。また「特定記録郵便」は、発信記録のみで、受領記録が残らないため、これには当たりませんので注意してください。
「到達を確める」の方法としては、以下のものがあります。
- 送付した本人限定受取郵便物等(簡易書留等による場合の到達確認も同様。以下同じ。)を古物と同封させて返送させる方法
- 本人限定受取郵便物等により受付票等を送付し、当該受付票等を古物と同封させて返送させる方法
- 本人限定受取郵便物等に受付番号を記載して送付し当該受付番号等を相手方から電話、電子メール等により連絡させる方法
- 本人限定受取郵便物等で往復葉書を送付し、その返信部を相手方から送付させる方法
- 本人限定受取郵便物等で梱包材を送付し、その梱包材に梱包して古物を送付させる方法(古物商が送付した梱包材と相手方から送付を受けた古物の梱包材との同一性が判断できるように、自社専用で第三者が入手できない梱包材を使用する。梱包材に個別の番号を付しておくなどの措置が必要です。)
宅配便の集荷サービス利用の場合は、それが「転送不要の簡易書留を送付してその到達を確認する」と同様の内容であるものに限ります。つまり、
- 古物業者が宅配業者の集荷サービスを依頼すること(申込者(客)が自分で集荷依頼するのではない)
- 宅配業者が申込者(客)の住所地に確実に赴いて集荷するものであること(他の場所での集荷に応じない)
- 集荷の際の記録が宅配業者に残るものであり住所地で集荷した事実が確認できるものであることが必要です。
10.IDとパスワードの送信を受けること等により、相手方の真偽を確認するための措置を既にとっていることを確かめること(注記1)(規則第15条第3項第10号)
2回目以降の申込みで、メールや申込書に発行した会員番号やパスワードを記載させるだけでは、これには当たりません。
(警視庁 非対面取引における確認の方法から引用)
まとめ
これらの本人確認を怠ると古物営業法違反となり、処罰されることがあります。
【※罰則】 法第33条第1号、第36条 6月以下の懲役又は30万円以下の罰金・併科
つまり、免許証等のコピーを送ってもらうだけでは違反ですし、18歳未満からの買取りでないことを確認する必要があります。
盗品等の売買の防止、被害品の早期発見はとても大事なことですが、この本人確認の厳格さが、事業のスピート、利用者の使いやすさの壁となり、また、結果としてメルカリの上場も阻害しているわけです。
手軽に取引できることが売りのメルカリにとって、顧客に煩雑な手続きを強いることになれば死活問題といえるでしょう。
ちなみに、メルカリもヤフオクも、利用者として継続して転売のために物を仕入れたり、販売したりする際には古物商の許可が必要になりますので、自分って、うちの会社って必要かも!と思われたら下記のフォームからお気軽に相談下さい。
新しい事業モデルには必ずと行っていいほど立ちふさがる法律と行政手続の壁、行政書士としてメルカリの今後も注視していきたいとおもいます。