忘年会のシーズンですね。
私は毎週のように居酒屋に”通勤”しております。
忘年会に欠かせないのは、やはりお酒。
お酒が無いと色々と忘れられません!(笑)
しかし最近ビールの値段が安いお店が増えましたね。
消費者としては嬉しい限りですが、その企業努力を考えると、「一滴残らず飲み干さねば!」と無駄な使命感を感じてしまうのは私だけでしょうか。
・・さて、本日はお酒の販売に関する免許のお話です。
皆さんは、なぜ飲食店で未開栓の缶ビールを販売しないかご存知でしょうか?
飲食店とお酒屋さんの許可の違いとは一体何なのか?
そんな素朴な疑問にお答えするお話です。
未開栓のお酒の販売には酒類販売業免許が必要!
実は、無免許で未開栓のお酒を販売・提供すると、酒税法に抵触します。
皆さんが居酒屋やバーでなどの飲食店でお酒を頼むと、グラスに注がれるなど、必ず「開封された状態」で提供されますよね?
それは、
- 未開栓のお酒提供→お酒の小売販売
- 開栓済のお酒の提供→お酒の飲食提供
と法律で定義付けられているからなんです。
つまり、未開栓のお酒を販売するには酒類販売業免許が必要であり、開栓済のお酒の提供の場合には飲食店営業許可が必要なのです。
これは飲食店に限った話ではありません。
どのような業種の店舗でも、酒類販売の許可無しでは未開栓のお酒を販売することはできません。
身近なところだと、未開栓のお酒を販売しているのはコンビニや町の酒屋さんですが、これらの業者さんはしっかりと酒類販売業免許を取って販売しているのです。
また、居酒屋やバー、ラーメン屋などの飲食店では、飲食店営業許可があるので、開封したお酒を自由に提供できます。
飲食店で未開封のお酒を販売することはできる?
では、例えばフレンチレストランなど、飲食店で未開栓のワインを販売したい、という場合はどうでしょうか?
実は酒税法上、飲食店では原則的にお酒を販売できないことになっています。
酒税法では、「飲食提供とお酒の小売は明確に区分すべき」とされており、「酒類販売用のスペースだけでなく、会計も全て分ける必要がある」とされています。
仮に売り場と会計を分けられたとしても、大変なのは「仕入れルートの分別」です。
未開栓のお酒を一般の方に販売するためには、酒類販売の小売免許が必要になります。
しかし、お酒の小売業者は同じ小売業者からお酒を仕入れることはできないルールになっており、卸業者か製造業者からしか仕入れることは出来ません。
通常飲食店では、町の酒屋さんなどからお酒を仕入れることがほとんどだと思います。
仕入れるお酒が飲食提供のお酒と同じ小売業者からの仕入れの場合は、酒類販売の許可を取ることはできないのです。
基本的には、飲食業許可と酒類販売業許可は相容れない資格になるのです。
ただ、全てを分離することができれば、例外として飲食店でも酒類販売の免許が取得できる可能性はあります。
酒屋の角打ちはどんな許可で営業しているの?
最近、町でよく見かける「角打ち(カクウチ」をご存知ですか?
酒屋の店頭で升酒を直接に飲むこと。転じて、店の一角を仕切って立ち飲み用にすること。また、そこで飲むこと。
角打ち(カクウチ)とは – コトバンク
角打ちは、お酒の小売業者の店舗の店先で飲食を楽しめるため、外国人観光客にも人気の営業形態です。
ではこの角打ち。
どんな許可を取れば営業出来るのでしょう?
実は、角打ちは非常にグレーな営業形態とも言えるんです。
お酒の小売業者は、当然、酒類販売業の許可を取っています。
しかし、前途の通り原則として酒類販売業者は飲食店営業許可は取れません。
従って、お酒の小売業者は調理した飲食の提供は出来ません。
あくまでも、お客さんがお酒を買って、調理されていないおつまみを買って「勝手に」店先で飲んでいるだけということになっています。
つまり、角打ちを営業するための許可というものは無いのです。
まとめ
昨今、若者のお酒離れが嘆かれています。
一方で、お酒販売業者さんには追い風が吹いてくるかもしれません。
前回も下記の記事で触れましたが、現在ナイトタイムエコノミー活性化の必要性が、政府レベルで議論されています。
深夜帯の営業に欠かせないのは、お酒。
ナイトタイムエコノミーが活性化されれば、お酒の販売・提供に関する事業も、必ず活性化するでしょう。
未開栓のお酒を販売したいなら酒類販売業免許を取る。
飲食店として深夜にもお酒を提供したいのであれば、飲食店営業許可+深夜酒類提供飲食店の届け出を出して、時流に乗った営業をしてみてはいかがでしょうか?
行政書士法人GOALでは、上記のようなお酒に関する許可の取得のサポートも行っています。
ぜひ、お気軽にお問合せくださいませ。