まるで「警察密着24時」が始まりそうなタイトルになってしまいましたが(笑)、ポジティブなお話なのでご安心を。
今回は朝までお酒を飲むことについて「健康面」ではなく、「経済」と「コンプライアンス」の面から考えてみようと思います。
本日の飲み会のトリビアにおひとつどうぞ。
深夜0時過ぎの居酒屋にてふと行政書士が思う
友人と居酒屋で楽しく飲んでいると話が盛り上がってつい終電を逃しそうになったりすることは、みなさんも良くあることでは無いでしょうか?
終電ギリギリで店を出てダッシュして、目の前でドアが閉まったりするのは僕だけではないはずです(笑)
さて、とある行政書士が居酒屋にて。
時計を見ると深夜0時を過ぎていて、終電がギリギリです。
店の近所に住んでいる友人達は時計が0時を過ぎていても余裕の表情。終いには「朝までここで飲んでいく」なんて言い出す始末。
後ろ髪を引かれる思いでお店を後にするのですが、行政書士である彼が駅に向かって走っていると、ふと、ある事が頭をよぎったとかよぎらないとか。
それは、
「ところであのお店、朝まで営業しているって言ってたけど、深夜酒類提供飲食店営業の届け出は出しているのかな?」
残念ながらこれは完全に職業病ですね(笑)。
むしろ彼は「健康面」から考えたほうが良さそうですが(笑)、それはさておき、この「深夜酒類提供飲食店営業」とは一体何なのでしょうか?
深夜酒類提供飲食店営業とは?
深夜0時を超えてお酒を提供する飲食店が営業を行うには、警察署に「深夜酒類提供飲食店営業」の届出が必要です。
ただし、レストランなどのいわゆる主食を提供する飲食店は除くとされています。
つまり業態としては居酒屋、バー、スナックなどが想定されています。
この届出を出さないと、実は「1年以下の懲役、100万円以下の罰金又は併科」、もしくは「50万円以下の罰金」という非常に重い罰則に該当する可能性もあるのです。
しかし一部の飲食店は知ってか知らずか、届出を出さずに営業している店舗もあると聞きます。
深夜営業にチャンス到来中!?
個人的に10年くらい前は「休みの前の日は朝まで飲んじゃおう!」ということもよくありましたが、最近めっきり減りましたね…(遠い目)。
そんな私はさておいて、実は今「朝まで飲んじゃおう」という人たちが急増しているのをご存知でしょうか?
実は、その急増する「朝まで飲んじゃおう」という人たちは、近年その数もとどまることを知らない「外国人旅行者」なのです。
日本のナイトタイムエコノミー「夜遊び経済」は発展する
実は悲しいかな、外国人旅行客にとって夜の時間帯の観光は満足度の高い日中の観光に比べ、退屈そのものと言われています。
欧米に比べて夜の活動をしない日本では夜のエンターテイメントが発展してこなかったのには歴史的な背景があります。
その要因は古来にまで遡り、一説には日本では古来から農作物の成長にとって最も重要な要素となる「太陽」の存在が信仰の象徴とされてきていて「太陽とともに目覚め、太陽と共に寝る」という生活が正しいものとされてきたからだ、とも言われています。
対して狩猟民族である欧米では日本のような習慣はなく、深夜遊ぶことが正しくない、という我が国のような習慣すらないと言われています。
とにかく、外国人観光客が急増する現在の日本において、夜の飲食店やショースぺースを含めたエンターテイメントを発展させるべきだいう提起を受け、自民党を中心としたナイトタイムエコノミー議連が発足。現在国を挙げての政策に乗り出そうとしています。
これから大きな動きが予想されており、夜遊びの概念が変わるかも知れません。
まとめ
みなさんは深夜0時過ぎにお酒を提供する飲食店は警察への届け出が必要、って知っていましたか?
かくいう私も行政書士になってから知ったくらいなので、一般にはあまり浸透していない届出であることは間違いありません。
しかし、飲食店経営者の方にとっては、この外国人観光客が増加する追い風をしっかりと取り込んでいくために、事業の基盤としてのコンプライアンスの遵守は欠かせません。
外国人旅行客が増加し続ける市況において、上手く風に乗るためには深夜営業について真剣に向き合っていく必要があるのかも知れません。
…そんなことを考えながら、駅の閉まったシャッターの前に佇む行政書士がいたとかいないとか。