インターネット上のニュースで「ウーバーイーツの配達員が自転車で配達中に自動車と衝突、ケガをしたが労災保険が使えなかった」という事例が報告されていました。
最近、街中でも黒や緑のバックを背負い自転車やバイクなどで食事のデリバリーをしている姿を見かけることが増えてきたウーバーイーツ(Uber Eats)。
Uberが掲げる<自由な働き方>として注目を集める一方で問題点も浮き彫りになってきています。
┃ウーバーイーツ(Uber Eats)とは?
スマートフォンを使った配車サービスを行っていたアメリカの企業が始めた食事のデリバリーサービスです。
配達員は、「配達パートナー」と呼ばれ、自ら登録をした学生や主婦などの一般の人が自ら所有する自転車やバイク等で飲食のデリバリーを行います。
従来、配達を行っていなかった飲食店もこのサービスを利用することによって、今までよりも幅広い層へのサービス提供が可能になっています。
┃ウーバーイーツ(Uber Eats)の仕組み
ウーバーイーツ配達パートナーになりたい人は、UberのWEBサイトから登録をします。
基本的には、18歳以上でスクーターやバイク、自転車、自家用車等を持っている人であればだれでも登録が可能です。
登録後の流れは次のようになっています。
- 専用アプリで仕事を待つ、受ける
専用のアプリで依頼を受けられる状態(待機状態)にしておくと各地の飲食店から「配達依頼」が届きます。
- 商品のピックアップ
依頼を受けた後は、飲食店へ食事等を取りにいき、顧客の指定する場所へ届けます。
依頼を受けられない時間帯は、「依頼を受けない」設定にしておくこともできますし、「依頼を断る」ことも可能です。
- 報酬の受け取り
依頼を受け、配達を完了するごとに手数料として報酬を受け取ることができます。
┃ウーバーイーツ配達パートナーは個人事業主
Uberの配達パートナー登録サイトでは、次のような記述があります。
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Uber なら、仕事のペースはすべてあなた次第。
朝だけ、夜だけ、土日のみなど、好きな時間に配達をすることができます。
短時間でも OK。
個人事業主なので、働く時間やスケジュールを決めるのは自分自身。
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このようにはっきりと「個人事業主」である旨が明記されています。
個人事業主であれば労災保険の適用を受けることはできないのはもちろん、労働時間等の労働関係法令や社会保険等の保護を受けることもできません。
┃ウーバーイーツ配達パートナーは労災保険の補償が受けられない
労災保険は、「労働者」を保護の対象としていますので、個人事業主であるウーバーイーツ配達パートナーの場合は労災保険の適用対象外です。
労働者と個人事業主は、次のような基準のもと実態を考慮していずれかに該当するかを判断します。
労働者 | 個人事業主 | |
賃金・報酬 | 時間に対して支払われる | 業務の完了に対して案件ごとに支払われる |
時間的拘束 | 労働時間を拘束される | 時間的拘束をされない |
指揮命令関係 | 事業主の指揮命令に従う | 業務の詳細な進め方については指示を受けない |
業務を受けるか否かの自由 | 原則、事業主の指揮命令に従い拒否権はない | 業務の受注については自由 |
社会保険 (健康保険・厚生年金保険) | 一定条件に該当する場合に適用される | 適用されない |
労働保険 (雇用保険・労災保険) | 一定条件に該当する場合に適用される | 適用されない |
よく、社会保険料や残業代の支払いを不当に免れるために「業務委託契約(個人事業主)」として契約を締結するケースもありますが、契約書のタイトルは関係なく実態で判断されるのが原則です。

┃自分の身は自分で守る必要がある
近年、重大な自転車事故も増えており、自転車による事故が数千万円から1億円を超える損害賠償に発展したケースもあります。
仮に労災保険が適用されたとしても労災保険は「労働者本人」への補償が原則であり「相手方」への補償はありません。
副業の一環として注目されるウーバーイーツ配達パートナーですが、以上のような問題点もあることには注意が必要です。
きっかけは、軽い気持ちの小遣い稼ぎ、割の良いアルバイト程度の気持ちかもしれませんが、様々なリスクもはらんでいることを忘れないようにしましょう。