(日本ブラインドサッカー協会)インタビュー連載vol.2「ビジョンとは北極星みたいなもの。いつもそこにあり、ぶれない。」

インタビュアー:GOAL MAGAZINE広報 白石華都
カメラマン  :行政書士法人GOAL/NPO法人設立・融資担当 若林哲平

前回までの記事

ビジョン策定には、1年かけました

(白石)早速ですが、2002年に任意団体としてJBFAがスタートしてからのち、沿革を拝見する限りでは非常に順調に成長してこられたように思います。特に「ここが大きなターニングポイントだった。」というようなきっかけは、あったのでしょうか?

(松崎)2009年に協会としてのビジョンを作ったことですね。2002年以降、ちょっとずつ大会を開催するなどの事業が増えて行きました。この頃には、競技だけではなくて、健常者がブラインドサッカーを体験する体験学習や企業研修、ワークショップなども行うようになっていました。
でも、そもそもの発端は、ブラインドサッカーの競技団体だったわけで、競技団体って代表を強くしたりとか、大会をやったりすることがやっぱりメイン業務です。
こういう体験学習や企業学習みたいなことをやっていく理由とか、必然性というのが、団体の内部でもあんまりコンセンサスが取れていなかったのですね。
そこで、2008年から1年ぐらいかけて理念づくりをしたのです。
その後、2010年に、新しいビジョンと共に視覚障がい者サッカー協会から日本ブラインドサッカー協会に名称を変更しています。

ビジョン:
ブラインドサッカーを通じて視覚障がい者と健常者が当たり前に混ざり合う社会を実現すること

(白石)ビジョン策定に1年というのはかなり長いほうだと思うのですが、どのような形でビジョンを決めていかれたのでしょうか?

(松崎)ボトムアップで作り上げたことが大きな特徴だと思います。時間はとにかくかかったのですけど、それにはボランティアさんとか選手とか各チームとか、色んなステークホルダーの意見を聞いていたからです。
だから、その後、「そもそもこのビジョンで良かったのか?」みたいなことがない。ブレることがないのですよ。
やっぱり北極星がいつまでもちゃんと北極星で居続けられているということは、非常に大事なことだったかなと思います。

(白石)ビジョンがいつも北極星のように、行く末を照らしてくれるっていうことですよね。

(松崎)このビジョンを決めたことで、視覚障がい者のためだけのサッカーじゃなくてブラインドサッカーというスポーツ自体を広めていくことが僕らのあり方だよね、という方向性が定まったなと思います。
「競技団体というスタンス+健常者へのアクション」というコンセンサスの問題についても、健常者と視覚障がい者が混ざり合う社会を目指すということをしっかりと定めてからは、迷いが無くなりました。
健常者への働きかけも事業としてやっていかないと、いくら視覚障がい者が頑張っても、周りの見る目が変わらなければ、視覚障がい者が公平な教育を受けることが出来ない。
今、働きたい障がい者のうちの実に20パーセントしか働けていないのですけど、そういう状況って変わっていかないよねと。

競技とスポーツの両方で成功することが目標

僕らがブラインドサッカーで世界一を取るときは、やっぱりそういう社会状況含めて変化を起こしていくというのがスポーツとして成功するということだと考えています。
スポーツと競技ってちょっと違っていて、競技は技を競って世界一を取るというところがあるのですが、競技で成功するだけじゃなくて、スポーツとしての成功はこのビジョンに向けて達成をしていこうという事だと考えます。

(白石)私はもともと広告業界でずっと広報に携わってきたのですが、やっぱりステークホルダーと一緒にコンテンツを、そのビジョンを作っていったっていうところがとても重要だなと思います。

(松崎)そうですね。理事会で勝手に作ったんだから、(現場の)俺らは知らないよみたいなことにはならないですし、後から加わった人たちも、関係者も基本的にすごく尊重してくれているビジョンなんです。

(白石)ボトムアップで決めていったことで、独りよがりではないビジョンが出来たんですね。
とにかく「混ざり合う」という表現が素晴らしいですよね。国内ルールですと晴眼者の方も視覚障がいの方も同じフィールドで対等に戦えるという意味でも、混ざり合うという表現がとてもしっくり来ます。

(松崎)混ざり合うって、よくちょっと曖昧だよねとか言われるんですが、その曖昧さも含めて実は強みなんじゃないのかな、とは、思っています。

GOAL’s EYE

いかがでしょうか?
ポイントは次の2点にありました。

  • ビジョンはボトムアップで策定
  • ステークホルダーの声を丁寧に聴く

通常、発起人の熱い志でビジョンを決められるケースが多い中、ボトムアップに一貫してこだわっていらっしゃる姿勢に、新たなヒントを頂きました。

次回は・・

GOAL MAGAZINE Interview  <GOAL、その瞬間>
特定非営利活動法人日本ブラインドサッカー協会/事務局長 松崎英吾 さん
Vol.3  NPOとして、事業構造上も誠実でありたい(1)

ビジョンを受けて、どのようなミッションを定めたのか。
法人化のきっかけや、収益体質にいかに生まれ変わったのか?2回に分けてお届けします。

(次回の更新は8月1日を予定しています)

投稿者プロフィール

白石 華都
白石 華都
GOAL MAGAZINE/広報
東京都生まれ、岡山育ち。在宅勤務と小学生・幼稚園児の子育て中。補助金申請やNPO/社団設立の書類作成の傍ら、GOAL MAGAZINEの運営に取り組んでいる。家族で日本のお城をめぐったり、キャンプでたき火をじっと眺めたりするのが癒し。