廃棄物を排出する企業は必見!廃棄物管理会社と行政書士について

この記事は、廃棄物を排出する事業者様向け、つまり全ての企業様向けの記事です。

私はこの時期、毎年3ヶ月だけ学生になります。
環境法の大家と言われる法科大学院の先生や有名な産業廃棄物処理業の方、企業のCSR担当者から弁護士などが講師を勤め、広く環境やリサイクルまで学べる貴重な機会ですので、毎年欠かさず通わせていただいています。
今回は昨日の講義でもとりあげていた「廃棄物の管理会社」について書いてみたいと思います。

廃棄物の管理会社とは?

管理会社とは、廃棄物の排出関係の管理を代行する会社のことを言います。具体的には、廃棄物を排出する事業者と廃棄物処理業者の間に入り、仲介する会社です。
廃棄物処理法は複雑すぎて、建設業者などの排出事業者だけでなく、産業廃棄物許可業者も理解しきれていないところが多いのが現実です。さらに改正も多い廃棄物処理法を中心とした法規制を正しく理解して、現場でも正しく運用し、リスクへの対応やイレギュラーな事案にも対応しながら適正処理を行うというのは相当難しいことだと思います。
だからこそ、主に排出事業者のサポートの面で管理会社の必要性が高まり、実際に増えているのだと考えられます。

管理会社の問題点

一般社団法人全国清掃事業連合会から提出された 意見書には「地方公共団体の規制権限の及ばない第三者(ブローカー)への対応について」と題し、下記のような提言がありました。

(引用元:http://www.env.go.jp/press/y0310-04/mat01.pdf
この文書でブローカーとは、「排出事業者と処理会社の間で、処理工程の適法性の確認、適正な処理業者の選定、処理料金の適正性の確認・支払いの管理等の業務を行うもの」を指しますので、つまり管理会社のことをいっているわけです。

排出事業者責任との関係

廃棄物処理法では、「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。(第3条)」と規定し、これにより、排出事業者の処理責任が明確化されています。
自社で適正処理をするか、適正な処理業者に委託をすることが定められており、基本的にはこの2者間での取引が想定されているところ、管理会社が間に入ることで問題が生じえることになります。
もちろんしっかりしている管理会社もありますが、下記のような問題がある管理会社も増えているのが現状といえます。

  • 内容や現状の問題点よりも処理費削減を提案してくる
  • 契約書・マニフェストとも不備が多い。
  • 契約書未締結だったり、産業廃棄物を一般廃棄物としてしまうケースもある。
  • 排出事業者に処理業者の選択権がない。

一番の問題は、廃棄物の適正処理の弊害になっている事があるということです。
処理費の削減ももちろん悪いことではありません。
ですが、廃棄物の適正処理のためには管理会社も遵法精神を持ち、高い専門性を持っていなければなりません。適正処理が処理費の削減より優先されるのはあくまで経済的なことしか考えていないことになります。儲かるなら不適正処理でもいいというのが不法投棄につながってしまうのと同じ論理です。
「全てお任せください」と謳う管理会社も見かけますが、そもそも排出事業者責任の観点からいえば問題と言わざるをえないでしょう。

廃棄物管理と行政書士の役割

我々行政書士も適正処理についての法律的な相談も受けますし、処理業者の選定についての実務的な相談も多く受けております。その意味では管理会社的な役割も果たしているといえます。
適正な廃棄物の処理のためには、排出事業者責任を果たしつつ、一方で適切なアウトソースをしていくことが必要で、廃棄物処理法を理解した専門家である行政書士の果たせる役割は非常に大きいと思っています。
ただ、管理会社と同様、行政書士も廃棄物処理法はじめ関連する法令、そして廃棄物業界自体についての知識が十分といえない場合もあります。行政書士の業務は許認可だけでも約1万種類あると言われ、VISAの手続きや法人設立、資金調達や相続などの市民法務手続きなど非常に多岐にわたるため、産業廃棄物やリサイクル、建設業などの排出事業者についてなど広くカバーできる専門家はそう多くないのです。
だからこそ僕自身も、開業10年目の今でも大学院に通って専門性を高めています。
廃棄物が適切に処理されることが、よりよい環境を後世に残すことに繋がります。
そのために産業廃棄物専門の行政書士として少しでも貢献していくべく、環境系行政書士としての道を歩み続けていきます。