補助金の不正受給にならないために

このところ森友学園からはじまり、補助金や助成金について残念なニュースが目につきますが、また大きなニュースが取り上げられています。

経済産業省が管轄する新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の補助金約4億円を不正に受給したということで、株式会社PEZY Computingの齊藤元章社長ら2名を逮捕したというものです。

・助成金の目的とは

補助金や助成金とは、返済不要のものとしては同じですが、先進的な事業を興したい、生産性向上のツールを導入することで働き方を良くしたい、育児休業を取りやすいようにしたい、などなど、約3000種類もあると言われている補助金・助成金にはそれぞれ目的があるのです。

最近は補助金や助成金が確実にとれます!とか補助金や助成金で儲ける!みたいな宣伝もよく見かけますが、お金をもらうことが目的ではなくて、やりたいこと、成し遂げたいことがあって、そのために費用が助成されるものなのです。

会社を良くするために補助金や助成金があるわけです。

では以下、この事件について詳しく見ていきたいと思います。

NEDOとはどんな組織?

助成金とは基本的に厚生労働省が管轄するものを言いますが、補助金はそれ以外全ての返済不要のものを指します。

今回の事件に関連する補助金は経済産業省が管轄する新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が出しているものですが、NEDOとはどんな組織なのでしょうか?

HPによると、日本最大級の公的研究開発マネジメント機関として、経済産業行政の一翼を担い、「エネルギー・地球環境問題の解決」および「産業技術力の強化」の二つのミッションに取り組む国立研究開発法人とあります。

(NEDOのHPより画像引用)

今回の事件はこのうち産業技術力の強化について振り分けられた予算を補助金として支出したものが不正受給になったということになります。

PEZY Computing社の補助金受給実績とは

NEDOがPEZY Computingにこれまで交付を決めた助成金の額の総額は約35億2400万円で、このうち(4)(5)は今後交付予定とされています。

(1)平成22年度イノベーション推進事業/3次元積層TSVメモリ技術を活用したメニーコアプロセッサの開発
助成期間:2010年度~2011年度 約1億100万円

(2)戦略的省エネルギー技術革新プログラム/バンプレス3次元積層技術を用いた省電力メニーコアプロセッサの開発
助成期間:2012年度~2013年度 約6億3300万円

(3)イノベーション実用化ベンチャー支援事業/超広帯域Ultra WIDE-IO3次元積層メモリデバイスの実用化開発
助成期間:2013年度 約5億円

(4)平成27年度戦略的省エネルギー技術革新プログラム/非接触型磁界結合通信を用いた高密度実装プロセッサデバイスの開発
助成期間:2015年度~2017年度 約10億3000万円

(5)IoT技術開発加速のためのオープンイノベーション推進事業/ビッグデータ解析のための低消費電力演算チップの開発
助成期間:2016年度~2017年度 約12億6000万円

このうち逮捕容疑の対象となったのは(3)のイノベーション実用化ベンチャー支援事業と考えられています。

イノベーション実用化ベンチャー支援事業とは、「日本経済再生に向けた緊急経済対策」(2013年1月11日閣議決定)の一環で、研究開発型ベンチャー企業の実用化開発を目的とし、1社5億円を上限に開発費の3分の2を補助するもので総事業費は100億円とされています。

(NEDOのHPより画像引用)

この補助金について、NEDOは2013年1月3日に公募を始め、同年4月30日に応募591件中125件の助成事業を採択しましたが、その中の1社が株式会社PEZY Computingだったわけです。

何が不正とされているのか

補助金の多くはかかった対象経費のうちの一部が補助されるというものですが、本件では経費として約7億7300万円を申告し、4億9955万9000円を受給していたが、対象経費のうち「外注費」として申請された4億3600万円のうち数億円分が「水増し」の可能性があると考えられています。

経費を水増しして受給した助成金を、別の研究開発に使ったか、第三者に流れたかは捜査によって明らかになるのでしょうが、厳しいNEDOの審査を経ての不正受給ということで今後の行方が気になるところです。

まとめ

本件において非常に残念なのは、株式会社PEZY Computingが極めて優れた技術集団であり、今回の事件によってそれらが分散してしまう懸念があること、そして本来このような会社が補助金によってより重要な開発が促進されることが期待される中で不正受給の疑いをかけられたことが明るみになったということです。

今月くらいから小規模事業者持続化補助金、、IT導入補助金と補助金の中でも人気の高いものの募集が開始されると言われています。

補助金や助成金は会社を良くする、事業を発展させるために、設備投資をしたり、研究開発したり、ツールを導入したり、人を採用したり、育成したりということを促進すべく支払われるものです。
お金をもらうことだけが目的ではないのです。だからこそ殆どの補助金や助成金には報告義務もあります。

実際には実施しなかった社員研修をあたかも実施したかのように偽って、研修実施費用や研修実施日の社員の賃金補助などを騙し取ろうとしたとして実刑が課された事件など、最近は残念ながらこうした不正受給のニュースがあとを絶ちません。

不正受給をすると会社の社名も公表されますので、当然企業の社会的信用も失われますし、他の申請ができなくなることもあります。

また、もし使ってしまったとしても返還義務がありますし、詐欺罪として実刑判決がくだされる場合もあります。

どんな会社でも◯◯◯万円取れます!

というような広告も見かけますが、間違っても不正受給にならないよう、専門家のアドバイスのもとで補助金、助成金を使って会社を良くしていただければと思います。

 

投稿者プロフィール

石下 貴大
石下 貴大代表
1978年10月15日栃木県生まれ 

産業廃棄物やリサイクルなどの環境ビジネス支援や株式会社や一般社団法人などの起業支援に専門特化して10年目。
これまで6冊の出版に加え、日経新聞やフジテレビの情報番組などメディア露出も多数。

1児の父親でメロメロ中。趣味はサッカーとビール。
いつか息子とボールを蹴れることを夢見ています。