創業融資は一発勝負!?一度失敗したら二度と申込できないのか?

一度失敗したら半年は再申し込み不可という都市伝説

「一度融資の審査結果NGが下ったあとはすぐに同じ銀行へ融資の申し込みができず、半年以上空けなければならない」という都市伝説がまことしやかに流れています。

果たして本当にそうなのでしょうか?

結論から言うと必ず「半年以上空けるなければならない」ということはありません。
銀行融資審査がNGだった原因を突き止めて改善すれば、すぐにでも再申し込みは可能です。
守秘義務の関係でどこがNGだったのかを担当者が詳しく教えてくれるケースはまれですが、言葉の節々にヒントが隠されているはずです。あまりしつこく食い下がるのはどうかと思いますが、今後に活かすため、と率直に審査NGの結果は訊いてみて下さい。
改善すればすぐに再申し込みが可能になることもあります。

中には難しいケースも

一方、審査NGの内容によっては即申込ができないケースもあります。

例えば自己資金不足の場合はすぐに申し込みを行うことはなかなか難しいと言えます。
明日明後日に自己資金が貯まることはありえないからです。
自己資金は原則として少なくとも半年、長くて一年以上の貯蓄の履歴から判断されます。
そう考えると、やはり半年以上は申込が出来ないということはあながち間違いではありません。

ちなみに、自己資金要件は業歴、資産背景など様々な観点から総合的に判断されますので、もし自己資金不足を少しでも充足できそうな情報があれば積極的に開示した方がよいでしょう。そのためにも融資が審査NGになった理由を注意深く訊いておきたいところです。

自己資金の考え方についてはこちらの記事をご参照下さい。

別の支店の担当者に再申し込みは有効?

別の支店に、融資を積極的に通している担当者がいるという情報を聞きつけて、別の担当者や別の支店で申込した場合はどうでしょうか?
融資の審査は基本的に支店内で行われますが、当然のことながら一度審査にかかった情報は全て金融機関内のデータベースに履歴として登録されています。
別の視点で申込をし、審査NGになった理由も記載されているので、基本的にはどの支店で申込をしても結果は変わらないといえるでしょう。
これはある銀行の担当者に聞いた話ですが、一度審査NGの結果が出たものを覆すのは、社内の人間関係的にもやりずらいものがあるようです。

以上のことから、審査NG後の2回目の申込は一回目よりもハードルは上がるということは言えそうです。同時に、一回目の融資申し込みが非常に大切だということもお分かり頂けたかと思います。

初回に融資申し込みに失敗してしまった社長の例

こちらはとあるA社長の融資申し込みの例です。
A社長は前職から独立し、ご自身が代表を務める株式会社を設立しました。

資本金は300万円。

この300万円はご自身のお金ですが、海外の口座に貯蓄されたお金であり、海外の現地銀行窓口に行かないと出金もできなければ明細を持ち出すこともできず、通帳の明細も現地に保管しなければならないという変わった銀行に預けていたお金でした。
そのお金を引き出して資本金に充て、自己資金を300万円と書き込んで日本政策金融公庫の「新創業融資制度」へ申込を行いました。

申込金額は800万円。

通常であれば充分な自己資金です。
しかし、残念ながら審査結果はNG。
理由は自己資金の不透明さ、ということでした。

そこで思考を変えて、東京都の保証協会付き制度融資を近隣の銀行へ申込を行いました。
しかし、こちらも残念ながら結果NG。
理由はハッキリと教えてもらえませんでしたが、自己資金の不透明さであることがなんとなく会話の節々から感じられたということです。

そこで弊社にご相談を頂きました。
自己資金に難ありとの評価だったことを伺っていたため、日本政策金融公庫の「経営力強化資金」を、先日申込をした支店とは別の支店の担当者へ打診を行いました。
しかし、返ってきた答えは「すぐに別の支店の決済を覆すことは難しい」という消極的なものでした。

たまたま社長は都内創業、創業から5年未満、39歳以下と条件が揃っていらっしゃったので、残る銀行融資の選択肢は同じく自己資金要件のない「女性若者シニア創業サポート事業」と判断して、同制度への申込を行い、なんとか無事希望通りの融資が受けられた、という事案です。

事業内容には、革新性と市場開拓の要素も強く、「経営力強化資金」で申込を進めることがベストだったケースですが、初回に自己資金部分の論理的補強がされなかったことで招いた危ういケースでした。

このケースから学べることは、やはり初回の申込先の金融機関や制度をなるべく選定して最も適切な制度を選択すべきということです。

まとめ

融資は仮に審査がNGだったとしても何度も申込することは可能です。
しかし、一度目を間違ってしまうと二度目のハードルが急に上がってしまう可能性がありますし、無駄な工数をかけることにも繋がる恐れがあります。
まずは、どのような融資制度が自分には適しているのかを判断してほしいと思います。

このサイトでは何度も掲載している内容ですが、創業者が利用できる融資制度は大きく分けると以下の4つしかありません。

  1. 日本政策金融公庫の経営力強化資金
  2. 日本政策金融公庫の新創業融資制度
  3. 女性若者シニア創業サポート事業
  4. 保証協会付きの制度融資

それぞれの特徴を踏まえて、一度目の融資に力を入れてみて下さい。
不安であれば専門家の力を借りるのも一つの手かもしれませんね。

投稿者プロフィール

武田 信幸
武田 信幸
1981年生まれ。千葉県出身。
スタートアップ期の銀行融資や補助金等、資金調達の専門家。
行政書士の傍らインストロックバンド「LITE」のギタリストとしても活動している。行政書士業と共に年2,3回の海外ツアーをこなす「行政書士×ミュージシャン」のパラレルワーカー。